春の婚礼料理 — 三浦の山菜と相模湾の魚を主役に

編集後記

JOURNAL

春の婚礼料理 — 三浦の山菜と相模湾の魚を主役に

2026.04.08RESTAURANTCUISINESEASONAL

春の婚礼料理 — 三浦の山菜と相模湾の魚を主役に

BY 高橋 直樹

春の婚礼料理 — 三浦の山菜と相模湾の魚を主役に

婚礼料理を考えるとき、私が最初に決めるのは「主役の素材」です。春であれば、三浦半島の畑から届く山菜と、相模湾で揚がる地魚。これらをどう組み合わせるかで、コース全体の物語が決まっていきます。

2026年春の婚礼コースでは、三浦・初声町の小川農園さんから届く「のらぼう菜」を前菜の中心に据えました。一般のスーパーには出回らない品種で、菜の花よりも甘みがあり、苦みは穏やか。これを、春鯛のカルパッチョと合わせ、レモンの代わりにスダチで仕上げます。

メインは、相模湾で揚がる桜鯛。春の婚礼は鯛を使う方も多いのですが、私は塩釜焼きにせず、皮目だけを強火で炙り、骨と頭からとった出汁のジュレをかけてお出しします。鯛の身そのものの繊細さを、ご家族の皆さんに味わっていただきたいのです。

そして、デザートは桜の塩漬けを練り込んだサバラン。婚礼料理のフィナーレに「お祝い」と「お別れ」が同居する春の桜は、私にとって特別な素材です。新婚のおふたりがご家族・ご友人の前で味わう最後のひと皿として、いつもこのデザートを選びたい気持ちになります。

料理は、おふたりの物語と、その日いらっしゃるご家族の関係を、皿の上に翻訳する仕事です。素材ありきではなく、おふたりの物語ありきで素材を選ぶ。これからも、その姿勢で厨房に立ち続けます。