2026.04.15ATELIERDRESSSTORY
祖母のドレスを、孫娘の挙式へ — 28年越しのお直しの記録
BY 田中 美保
先月、当社銀座本店アトリエに、一着のウェディングドレスが届きました。1998年、当社の創業翌月に仕立てた、Aラインのシルクサテンのドレス。当時お召しになったお祖母様から、来年挙式を迎えるお孫様へと、28年の時を経て受け継がれることになったドレスです。
依頼書には、こう書かれていました。「祖母の面影を残しつつ、私自身の挙式で着られるドレスにしてほしい」。サイズの調整はもちろん、襟もとを当時のスタイルから現代の柔らかいネックラインへ、袖口のレースは新たに編み直し、裾には祖母様が当時お召しにならなかった刺繍を、孫娘様の手で加えていただきました。
アトリエでの作業期間は4ヶ月。週に一度、孫娘様にお越しいただき、ご一緒にひと針ずつ刺繍を進めました。祖母様の代の縫い目はそのまま残し、新しい縫い目だけを赤い糸で印を残す。「同じドレスでも、違う物語が同じ布の上に重なっている」ことを、針の跡として残したかったのです。
挙式は来月。ドレスはアトリエを離れて、孫娘様のもとへと旅立ちました。28年前、このドレスを最初にお仕立てしたのは、私の母でした。母から受け継いだアトリエで、私が娘世代のお直しを担当する。このドレスのなかで、四代の女性の時間が静かに重なっています。
当社では、お母様・お祖母様から受け継いだドレスのお直し、アップサイクル、刺繍の追加などを承っております。ご相談は銀座本店アトリエまで、お気軽にお問い合わせください。